2022年11月 京都秋遊の旅6日間③市内バス旅


      京都大徳寺聚光院「そうだ京都は今だ」2016年夏
 「そうだ 京都、行こう。」の新シリーズ 狩野永徳筆「花鳥図」

     目の前にあるのは、もしかして
     16面のパノラマスクリーンではありませんか
 
<3日目 11月8日(火)晴れ>青蓮院門跡 京セラ美術館と大徳寺
京セラ美術館の予約時間が10:00で 朝の時間をどうするか検討する
近隣で歩いて回れる観光名所は9:00開門の「青蓮院門跡」だけでした

「青の幻想」「生命賛歌」「極楽浄土」の三部作 襖絵60面で描かれる

木村英輝画 どうして伝統ある門跡寺院に現代アクリル画が・・・
京都を舞台に「もてなし しつらえ ふるまい」による日本の美意識を
楽しむ催し「にっぽんと遊ぼう」のプロデューサーでもあった木村氏が
平成16年の主催地が青蓮院門跡であり たまたま当門跡の襖絵が白地
であったことを思い出して 蓮の三作品を提案し 採用された次第です
実は提案でボツとなった一作目「枯れ蓮」は友人樹木希林自宅の板戸に
描かれて 四部作として完成を見たとのことです

上皇上皇后様です

廊下には「そうだ 京都、行こう。」のポスター原画が大々的に掲示あり

私は 普通に建物の際 例えば縁側に出て庭園を鑑賞し 撮影しますが 
お勧めは 室内の中心から庭園を見る 建物の天井が手前の室内空間を
暗くし 明るい庭園空間が対比的に見られ より美しく見えるそうです


    コロナで中止になっているライトアップの光景です
    中央の青い光は清水寺からのものです
    気持ちもゆったりする癒しの庭園 夜間は夢の中ですね

青蓮院を出てすぐ 小学校の廃校をホテルに改装したのは・・・
「ザ・ホテル東山 by京都東急ホテル」屋上からの眺望が素晴らしい

素晴らしいと手放しで喜んでいいのでしょうか? 背景はこうなのです
粟田小学校は「下京二十五番組小学校」でスタート これは1869年
(明治2年)全国に先駆け 番組という当時の行政区画ごとに 64の
番組小学校ができました(行政と民間の寄付協力のたまもの) これが
児童の減少等で休校・廃校となり 17校にまで減少してしまいました
跡地活用は市独自だけでは無理と ホテルに60年間期限付き貸出した
(京都が京都でなくなる問題は後述します)

私見ですが「粟田口」が気になります 既述した様に 光秀の首晒しや
京都キリシタンの処刑場で 江戸時代には毎年3回処刑が公開された地

東急ホテル敷地は上の地図上で「現在地」の位置にあります

JR東海の「そうだ 京都、行こう。」に刺激されたのか 京都市独自で
「京都創生」の「日本に、京都があって よかった。」というアピール用
ポスターが作られました 京都は日本の財産 世界の宝とうたっています
現在の最新ポスターが 今回訪れた京セラ美術館でしたので紹介しました

銀のかつらがトレードマークでした
京都旅行で三十三間堂の千体の仏像群に出会い「繰り返し」のイメージが
生まれ 32個のキャンベル缶として生かされた(「新美の巨人」より)

スマホでの撮影はOKなるもカメラは不可と どうして?3枚失礼!
スマホでQRコードを読み取ると絵の説明が聞けて撮影もできます と
妻に依頼すると「同時になんて出来ない 私はアンディ・ウォーホル
なんて全部見てるし 興味が全くない!!」とわめき出し出口の方へ
旅行中は一日に一回は大声をあげる いつもの妻なのです あああ!

ここは稲盛財団の美術館 財団関連の京都賞受賞者 坂東玉三郎の写真が


(妻が手招きします)東山キューブ・テラスよりの眺望が見事です


妻は さっさとエレベーターの前へ(まだ怒っているようなのです)

昼食は予約しておいた「エンフューズ」のピクニック弁当を日本庭園で
妻は食事さえ(与えておけば)食べれれば すぐにご機嫌は直るのです

1933年以来の建物は 2020年5月リニューアルオープンですが 
現存する日本で最古の公立美術館建築だそうです 

近くまで来たので気になっていたヒューリックのマンションを確認に
(近隣の建物に複数「マンション建設反対」の垂れ幕がありました)
無鄰菴と瓢亭を見下ろす位置に高層マンションはどうなのか?近隣の
猛反対もあった計画でしたが 超高級ホテルの「ふふ京都」に変更と
なったようで一安心 3階建てです ヒューリックふふ共同経営です

と考えたのは我々だけでした 
㈱高文研発行の「観光コースでない京都」(2022年5月発刊)で
「京都が京都でなくなる」と問題提起されているのを発見したのです
京都市は 国の「観光立国戦略」に従い 外国人観光客呼び込み目標
を掲げた そして受入れのために客室数増加が合わせて目標化された
しかも 富裕層向けのホテルを 特に推進するために「上質宿泊施設
誘致制度」という特例措置を作り ラグジュアリーホテル建設を促進
する一方 簡易宿泊所や民泊の基準を緩和し 客室数目標従前3万室
から4万室への目標を掲げ 現在大幅に超過する5万7千室になった
結果どんなことが起きているのでしょう・・・
①既述した番組小学校を壊し民間企業に貸し出し ホテルが作られる
 これまで京都市民が築いてきた共有財産を切り売りしているのです

②ラグジュアリーホテル建設で歴史的景観が破壊されようとしている
 上の「ふふ京都」ですが 無鄰菴庭園の借景が遮られるだけでなく 
 岡崎地区としてのひとまとまりの景観がホテル出現で分断されます

 同様に 仁和寺門前で 富裕層向けホテル建設計画が進んでいます
 仁和寺とその向こうに聳える双ヶ岡(ならびがおか)が分断されて
 地域の景観が一変 宿泊富裕層だけが美しい景観を独占するのです
  注: 仁和寺門前に建設中で 2024年2月に営業開始予定
     「ドーミーイン」を経営する共立メンテナンスが手掛け
     (仮称)「京都御室花伝抄」として運営されるようです 

③ホテルラッシュによる地価の高騰 固定資産税・家賃の高騰で京都
 市民の「住む権利」が奪われ 地域コミュニティーの破壊に繋がる
④観光客の激増によって市民生活が脅かされる 「バスに乗れない」
 「騒音ゴミ問題が深刻」「私道にまで観光客が入ってきて 生活を
 覗かれる」「錦市場も原宿化して 食べ歩き店が進出し 昔からの
 魚屋・八百屋が撤退」と京都の主人公が失われていくのです・・・

⑤現在も 北陸新幹線の京都延長計画 新選組で有名な壬生地域での
 マンション計画 弥栄会館解体し帝国ホテルを 北山地区の大規模
 開発などが持ち上がっている 一体どうなってしまうのでしょう?


  本日は 京都市バス206で一日ぐるりと市内を回りました
先ずは京都駅から神宮道 次が東山二条・岡崎公園口から大徳寺前へ
大徳寺前から千本中立売そして最後が京都駅まで一日券有効活用です

大徳寺には3回目です 国内旅行では 1回訪問したら2回目は無い
ということを原則にしていますが 実は大徳寺には 塔頭が沢山あり
どれもこれもが素晴らしい しかも通常公開ではなく特別公開なので
その公開時期を狙って 旅行計画自体を複数立てざるを得ないのです

ある人の言葉から「大徳寺と言う大銀河の中に 塔頭という小宇宙が
有り 更にその中に 様々な星空の様な庭がある
そして大徳寺境内に入ると 木々などの自然 石畳や 瓦を含めての
自然素材だけで出来た 建築群の作り出す美しさ 過去へとトリップ
させてくれるその感覚が 何とも心地よいのです 

大徳寺塔頭総見院」の秋期特別公開で 織田信長の木造に御目見

茶室も特別公開されています

織田信長公一族墓碑 信長と正室濃姫に手を合わせます

聚光院予約時間まで30分あります 急いで今宮神社裏へ向かいます
お目当ては もちろん あぶり餅です 参道の両側に2店舗あります
以前は 神社に向かって右側の「元祖あぶり餅一和」でいただいた
それで今回は参道反対側「本家あぶり餅かざりや」に入った次第です

       TV「鬼平犯科帳」のエンディングに出て来る景色です

調べますと 元祖の創業は長保2年(西暦1,000年)本家の方は
約600年遅れての創業 どちらかと言うとお客は元祖の店が多い
料金は600円と百円値上がりしました 味は少し違うらしいです

ちらっと今宮神社の境内も撮影します(昨年まで2回参拝しています)


  (注:WEB版は薄いので 編集機能を使い濃い目にして掲載)


本年は利休生誕500年の年 利休の菩提所に参れたことは縁でしょう
そしてここは利休の流れを汲む茶道三千家墓所ともなっているのです
庭園は永徳の下絵を利休が作庭したと

1979年にパリのルーブル美術館からモナリザが来日 その返礼とし
永徳の障壁画16面がフランスで展示された まさに日本の宝なのです
狩野派の大天才永徳は 幼い頃から祖父の元信に連れられ 多くを学び
桃山時代の頂点を極めた画家であり 聚楽第大坂城伏見城などに
作品を描くが 多くは焼失し残念ですがほとんど残っていないのです
私は長谷川等伯の方が好きで追いかけていますが 永徳にも感謝です

2013年に書院の建て替えが落慶し 千住博画伯の障壁画「滝」が
奉納されました 今回拝見し 絵の具を垂らしながら4度も描き直し
をされた作品であるとの説明を受け 新進気鋭ながら若手の千住氏に
依頼をされた寺側の先見性に感服しました
 注:狩野永徳の「花鳥図」はどこからどう見ても完璧に近く 自分
   が依頼された大書院の襖絵が 廊下一本隔てただけで花鳥図と
   接することの重圧に長い間苦しんでいたと 千住さんの談あり

私が同氏の名前を知ったのは NHKのドキュメンタリー番組で放送
された「ベネツィアビエンナーレ」に「THE FALL」出展の
ときの壮絶な話でした 一般に「滝」と呼ばれますが 滝であるなら
「THE FALLS」であり 本作は アダムとイヴが楽園を追放
されたという「堕落」の意味だそうです
隈研吾氏設計の日本館会場は 館内全域に水を張って 全ての作品が
水面に反射するという構成でした この床に水を張る現地の工事請負
作業員が ガスバーナーなどを作品のそばで使用 その不注意により
溶けたコールタールが 絵に付着 傍にいた千住さんは 咄嗟に付着
したコールタールを左手で取り払い 大火傷し救急病院へ 幸いにも
右手が無傷であったため修復作業をして 初日を迎えることができた
授賞式では 手に白包帯の姿で 名誉賞の金色の楯を受け取っていた


聚光院では入口で荷物は全部ロッカーへ 写真も全面禁止ですし
朱印状は書置きだけ しかも千円ってあまりにもムゴイのでは?

それはそうと 聚光院のすぐ南に「三玄院」という非公開の塔頭
があります 石田三成の墓があるそうです そして大徳寺境内の
塔頭で言えば 細川ガラシャの墓がある「高桐院」いつになれば
再公開となるのでしょう?

夕食は超人気居酒屋の「神馬」
電話予約はまず不可能 オートリザーブという媒介を使い早くに予約
入店してカードが使えないということで 夫婦で財布の中身を合算し
「1人1万円で おまかせということでお願いできますか?」と依頼

前菜

からすみ餅と刺身盛り合わせ(まぐろ 牡丹海老 鯛 烏賊)

ふぐてっぴと白子友和え 先ほどの海老の頭を唐揚げにしてもらいました

松茸と鱧のしゃぶしゃぶ・・・一番美味しそうな一品 撮影し忘れました
甘鯛と貝柱の塩焼き ローストビーフ

こっぺがに(香箱) 二人で一皿(少々雑です)を半々にしてくださいと

鱧のスープ(先ほどのしゃぶしゃぶを利用)
鱧と鯖寿司・・・これで御馳走さまです 美味しかった

気付いたこと: 食事中電話が鳴っていました すかさず店員さんが
電話口に出て応対していました あれっ?電話通じるの? おかしい!
もしかしたらと思い 入口においてある店の名刺を見ます そこには
電話番号が二つあり 一つがWEB掲載の代表電話番号 もう一本が
(075)461-4322 これに2回目以降のお客さんが架ける
一番楽なのは 私が依頼した依頼代行の「オートリザーブ」お勧め!