＜8日目後半＞ナショナルギャラリー
注：フォトブックに掲載しましたが ブログにも再掲載
そのブログ記事もどうしてか消えてしまい再作製です
チャリングクロス駅
オーディオガイドを借りましたが 日本語案内は少なく全部を聞いて
いる余裕もなく ただただ館内を走り回っていました
お目当ての絵は「レディー・ジェーン・グレイの処刑」
中野京子さんの「怖い絵シリーズ」で知った上の絵です
故ヘンリー８世の後継者は誰か？「どうして」１６歳のジェーンが
処刑されなければならなかったのか 「怖い絵」の真骨頂ですね
ナショナルギャラリーで人気を二分する二枚の絵です
ヤン・ファン・エイクの「アルノルフィーニ夫妻像」なぜ人気なのか？
左手で妻の手をとり 右手を上にあげるポーズは 当時の結婚の宣誓を
表わす 犬は忠誠のシンボルで 夫婦間の信頼と妻から夫への貞節表現
お腹の膨らみは妊娠ではなく 当時の流行のファッションだそうです
巨匠の絵は外せません 先ずはダ・ヴィンチです
「岩窟の聖母」は二枚あり もう一枚はルーブル美術館所蔵です
「聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ」は 木炭とチョークで紙に
描かれたドローイングと
ミケランジェロ（未完のパネル画）とラフエロ「カーネーションの聖母」
フェルメールが二枚ありました
「ヴァージナルの前に立つ女」と「ヴァージナルの前に座る女」
対の作品で 二人とも全く同じ服装 視線がどうも気になります
ちょっと気になった作品です
ハンス・ホルバインの「大使たち」どうしても下部の骸骨の歪曲画が
気になる 人には死が
上の棚には神が創ったもの 下の楽器は人間が創ったものとの対比
ターナーの「戦艦テメレール号」最も偉大なイギリス絵画と言われる
トラファルガー海戦に参加した軍艦が解体されて 最後は教会の建設
資材に回されるという 人間の生涯にも似た運命を感じさせます
階段の途中に見つけたアンリ・ルソーです
眼が釘付け 何ときれいなお尻ちゃん
ただし 鏡に写った顔はイマイチ 何度も見返しに往復しました
ベラスケスの「鏡の前のヴィーナス」１７世紀スペインでは裸婦画を
描くことは重罪だったため後ろ姿にしてあるのです ゴヤはこの作品
に刺激を受けて「裸のマハ」を描いたそうです
実は ギャラリー中を探し回り 係員に撮ってきたスマホの写真を
示し「この絵はどこの部屋ですか？」と質問した結果教えられた絵が
ルーベンスの絵画 端から端まで走り回されました 結局見つからず
ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン「麦わら帽子をかぶった自画像」です
（この絵もルーベンスの絵からヒントを得ての作品ですが・・・）
ここで出会えるとは全く思っていなかった 女性アーティスト作品です
（好きな女性画家であり この絵はメトロポリタン美術館にあるはず）
注：縮小版として当館に所蔵のようです
ローザ・ボヌール（１８２２～１８９８）の「馬市」圧倒的な躍動感で
一躍世界デビューです 当時は今以上のジェンダー格差があり 彼女も
パリで馬市を見んがため パリ警察に男性の服装を着る許可を得なくて
はいけなかった ナポレオン三世皇后をして「天才にジェンダーは無い」
と言わしめた 彼女は「興味のある男性は絵に描く雄牛だけ」と公言！
参考までに ナショナルギャラリーに所蔵している女性画家作品２１点
ですから エリザベート・ヴィジェ・ルブラン作品は特別扱いなのです
もう一人 女性画家で気になる人 ベルト・モリゾです
ナショナルギャラリー所蔵の 画家ベルト・モリゾ「夏の日」
モリゾの魅力を引き出したのは マネ モデルに多用していました
最後にはマネの弟と結婚しますが 本心だったのでしょうか？
館内の様子
好きな絵一枚紹介 トマス・ゲインズバラ「アンドルース夫妻」
二人の姿勢・衣装が不自然 これは画家の使うモデル人形に着せて
描かれたもの 人物は主ではなく 背景のイギリスの地方の抒情的
な景色 吸い込まれそうな奥行きこそが画家がえがきたかった主題
トラファルガー広場のネルソン提督像とライオン像
ロンドンっ子が羨ましい だって大英博物館とナショナルギャラリー
両方とも無料で入れるし 写真撮影だってＯＫなのです
ナショナルギャラリーは１８２４年設立 コレクションの基礎が王室や
貴族のコレクション由来ではなく 保険ブローカージョン・ジュリアス
アンガースタイン収集の３８点に 個人からの寄付が集まり 代々の当
館長が購入した物が基礎となっている そのため資金力に難があり国内
で売りに出された絵画も購入できず みすみすエルミタージュ美術館に
大量に持ち出されたりしているのです
戦争中当美術館の絵画をカナダに移そうかというとき チャーチル首相
が「一枚の絵画もイギリス諸島から出ていくことはありえない」と命じ
「洞窟や地下壕にでも隠せ」となり 近郊の採石場に隠すことになった
結果空っぽのギャラリーでは ピアニストが毎日 一般国民の戦意高揚
や 市内のコンサートホールが全部閉鎖されているため演奏会を開いた
また 戦争画家に描かせた絵画展示や 採石場から「今月の一枚」とし
て 順次一点ずつ選ばれて展示されたりしていました
王室所蔵のバッキンガム宮殿のクイーンズギャラリーには ゆうに２０
万点 ナショナル・ギャラリーは約２，６００点です
国立西洋美術館で ２０２０年６月～１０月（コロナで３ヶ月延期）に
「ロンドン ナショナルギャラリー展」が開催されました ６１点もの
作品が館外で初めて大規模展覧会となって日本発見参 ゴッホの代表作
「ひまわり」も来ました 我々は前年見ていました 行きませんでした
参考：２日目その２に記した宿泊ホテル「シャワーのみかバスタブ付か」
ですが 何となくその話になって 皆さんバスタブ付と判明します
なーんだです
帰国便のＢＡが３時間も遅れ それに対しては「１名５ポンド」の
金券が配布されましたが ３時間の時間給５ポンドは少なすぎます
帰国便も３名掛けの席で２名で悠々でした 食事の注文で「オムレ
ツかイングリッシュ・ブレックファスト？」と聞かれ 思わず後者
を 英語で言われると イングリッシュ・ブレックファストって美
味しそうに響くのです もう飽きているのに
ロンドンには計画では６年後に再訪予定です。楽しみです
